バッテリーを内蔵した「非常用照明」全てが「非常灯」ではない
-マンション・アパートなどの集合住宅について-
1.非常灯
非常灯は火災などの停電時に、
建築基準法では30分以上、消防法では20分以上点灯することが、
義務づけられています。
「大規模施設」では、避難に時間が掛かることから、60分点灯する
ことも必要になりました。
また、「照度」は、床面で1ルクス以上(蛍光灯は2ルクス以上) 必要
です。
※2012年6月1日に建築基準法が改訂され、非常灯に使用される
ランプは、「耐熱性があること」となりました。建築基準法にLED灯に
付いては書かれていませんが、大手メーカーはこれを受け、LED灯
は非常灯に使用できないとしました。ホームページなどで掲載して
います。
2.非常用照明器具
その非常灯は、マンション・アパートなどの共用部(廊下など)に、
バッテリーを内蔵した非常用照明器具とセットで設置され、
停電時には、非常灯としてバッテリーで点灯します。
※非常用照明器具は、停電時と同じ状態で正常に作動するか
点検が出来る点検スイッチがついています。その点検スイッチは紐
を引く形式の物がほとんどです。
3.共用部すべてに非常灯が必要なわけではない
熊本市市役所建築課・熊本市中央消防署で確認し、資料を
頂きました。

「設置不要部分」では、「解放廊下・解放階段」が相当
すると書かれています。
非常用照明は、排煙が困難で避難の際に明るさが求められる場所
に取り付けなければならないと言うことです。
解放された場所では「非常用照明装置」は不要です。
ただし、隣のビルがすぐ近くにあり、十分な採光が出来ない場合は該当
する階に「非常用照明装置」を取り付ける必要があります。
4.では、何故、「解放廊下・解放階段」に「非常用照明装置」が取り付
けられているのか。
停電時に入居者に対する配慮だと思われます。
5.考察
いろいろな方にお聞きすると、「非常用照明器具」だから「非常灯」
だと勘違いされていますが、以上のことから、
「非常用照明器具」全てが、「非常灯」ではないことになり、
バッテリー内蔵の非常用照明器具であっても、非常灯として機能
しなくても良いものについては、LED灯を使用しても問題はないのでは
ないでしょうか。